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T-ウィルスとは、カプコンのテレビゲーム『バイオハザードシリーズ』、およびその派生作品に登場する架空のウイルスである。ゲーム中に登場する架空の製薬企業アンブレラ社によって開発、その後、生体兵器の研究用途に転用された。当該作品のタイトルである「バイオハザード」とは、主にこのウィルスの流出が巻き起こした生物災害のことを指すが、『4』の事件の元凶はプラーガという寄生虫のため登場しない。『5』の事件もプラーガが主な元凶ではあるが、アンブレラ社の発端や研究過程を語られる形などで登場する。

T-ウィルスとは[]

このウィルスはアンブレラ社創立以前に、ジェームス・マーカスとその助手であるブランドン・ベイリーらによりアフリカの地下古代遺跡に咲く始祖花(この存在をほのめかしたのはオズウェル・E・スペンサー)の中から発見されたRNAウイルスである「始祖ウィルス」をベースとし、様々なウィルスの遺伝子を組み込むなどして作り出された変異体である。「T」は「Tyrant」(タイラント:暴君)の頭文字から取られている。色は緑色(映画版では青)。

マーカスがアークレイ山地の幹部養成所で所長を務めていた頃、その立場が始祖ウィルスを研究するのに都合の良いこともあって、マーカスはヒルに着目しT-ウィルスの第1号を生み出した。ヒルは寄生や捕食、繁殖を繰り返し行う生物であり、マーカスはこの生物自体を生物兵器として優れていると考えた。そして1978年2月13日に実験体のヒル4匹に始祖ウィルスを投与し、それからヒルの肉体肥大化・知能向上・集団による捕食やマーカスの姿への擬態という変化が発生。これで糸口を掴んだマーカスはヒルの体内で生み出された、始祖ウィルスとヒルのDNAが組み合わさった変異体のウィルスを「T-ウィルスの第1号」とし、さらなる研究のために何人もの人間をモルモットにしていった。

その後T-ウィルスはマーカスの手を離れ、ウィリアム・バーキンやアルバート・ウェスカー等の手によって量産され、ラクーンシティだけではなく南極研究所やシーナ島など、各地にあるアンブレラの研究所で実験・改良が進められていた。

性質[]

感染経路
T-ウィルスは非常に強い感染力を持ち、空気感染・水を汚染する事による経口感染・血液感染等、あらゆる経路で拡散する。ただし変異性が高く、広がっていくうちに感染力が弱まる傾向にある。基本的に空気感染を起こすのはウィルスが拡散した初期の段階であり、生物に感染した後は血液感染など感染者の体液が血液内に入ることで感染を広げる。たとえそれが爪で引っかかれるなどの微量なかすり傷でも感染する。ゾンビ化するまでの時間は個人差が大きく特定できないが、感染者の肉体が弱っているほどウィルスの活動が活発になり、発症が早まる。ゾンビに襲撃されたなど瀕死の人間等はごく短時間でゾンビになってしまうため、ひとたび流出すれば、洋館事件やラクーンシティ、シーナ島などのような大惨事に直結する。
1998年9月にラクーンシティで発生した大規模なバイオハザードの場合、下水道に流出したウィルスにまずネズミが感染し、そこから爆発的に感染者が広まっていった(ラクーン警察署であれば、下水道経由で侵入したウィルスに犬舎のドーベルマンが感染し、そのドーベルマンが飼育担当者に怪我をさせたことが署内で感染者の広がるきっかけとなった)。
感染性
感染対象は動物に留まらず、植物でも感染して変異を引き起こす。万一ウィルスに感染しても、早期にワクチンを投与すればゾンビ化を免れることがある。脳細胞を侵食された場合はもはや感染者を救う手立てはなく、脳を破壊するなどの直接的な攻撃で活動を停止させるしかない。ワクチンの効能だが感染度合いでは、投与しても効果が現れずゾンビ化する事もある。
映画版の例として、レインの場合は短時間で4箇所以上噛まれ、約30分ほどで嘔吐を伴う全身疲労が現れ、約50分経過あたりで抗ウイルス剤を投与するもゾンビ化した。カルロスの場合は1箇所噛まれてから約3時間で発熱などの風邪の初期症状が出始め、後に抗ウイルス剤を投与してゾンビ化しなかった。ただし、抗ウイルス剤によって体内に抗体ができる訳ではないのか、投与の数年後に噛まれた事で再び感染している。若干の差はあるものの、対象となる物の性別、年齢などは関係なくウィルスの侵食を受ける。
感染の症状の1つとして長期の仮死状態に陥るという物があるため混同されがちではあるが、基本的に既に完全に死亡している生物に感染する事は無い。ただし、感染が広がっている環境下や高濃度のウィルスに直接感染した場合等は、即死に近い状態からでも発症する場合がありうる。例えば、S.T.A.R.S.のブラッドは、『3』においてネメシスにより脳を破壊されたが、肉体は生きていたため、触手から入り込んだ高濃度のウィルスによりゾンビ化している。
ウィルス抗体
遺伝子による相性が原因で、T-ウィルスに対する完全な抗体を持った人間が存在する。例えどんなに遺伝子研究を進めても、この性質を改善する事は不可能であると立証されている。ゲーム本編の主人公達がワクチンを投与していないにも関わらず、ゾンビ等のT-ウィルス生物の攻撃を受けても感染しないのは、この抗体を持っているため(『0』のイベントシーンでも、マーカスのヒルに襲われた犠牲者が高確率でゾンビ化してしまった中、レベッカは同じように襲われても感染しなかった)。ただしそういった人間でも、ジルのように濃度の高いT-ウィルスを直接体内に送り込まれると、感染してしまう場合がある。
アンブレラ社や各所の研究機関においてワクチンが開発されており、事前に投与しておけば感染を防ぐことができる物、一時的に体内のウィルスの活動を抑制する物、感染したウィルスを駆除する物等が作り出されている。中でもラクーン大学で開発された「デイライト」は、抗体のない人間でも即座にT-ウィルスを死滅させ、さらに以降の感染も防ぐことが出来る。ウィルスに感染した生物に対し投与すれば、その場でウィルスが死滅し、即死する。しかしT-ウィルスは変異性が強く、抗体を投与されている人間でも(U.B.C.S.隊員に投与されていた抗体は監視員のものに比して低品質だったためか)汚染された水を摂取したり、死に瀕した場合等に発症してしまうケースも存在する。
また、『バイオハザード3』において、ラクーン病院の医師や職員の決死の奮闘の結果、未知のウィルスがいわゆる奇病の原因となっていることを突き止め、中和剤を開発する寸前までになっていた。担当医師がウィルスに感染してしまったため彼らの手で完成することはなかったが、後にこの中和剤はウィルスに感染したジルに対し、カルロスの手で使用された。
ラクーンシティ崩壊事件から数年後、ウィルファーマ社が極秘でT-ウイルスのワクチンを開発、製造していた。空港でテロリストによるT-ウイルス流出事件が発生した際、同社は社内に備蓄されていた物を含めた全てのワクチンを現場に輸送したが、テロリストにより全て爆破された。しかし開発データはレオン・S・ケネディに回収された描写があるため、ワクチンの製造は現時点でも可能である。
ちなみに、T-ウィルスより上位に位置するG-ウィルスT-VeronicaはT-ウィルスを完全に無効化し、影響を一切受けない。特に具体的な「T」の抗体としての位置付けでもある「G」、及びそれを生物に投与し誕生するG生物は「T」に汚染された生物を食らい養分としても特に問題は無く、それどころかG生物化したウィリアム・バーキンは「T」に対しての優位性を見せつけているのか、「T」の入ったアンプルを踏み躙り、それ以降は見向きさえしなかった。また、この二種を組み合わせた「T+G」ウィルスも開発された。なお「G」とはまた別に、ジルの体内で生成された強力なT-ウィルス抗体は「始祖」の毒性を抑える程の効力を発揮し、「ウロボロス」ウィルスの開発に利用されている。これらの事例から新たな驚異となるウィルスの誕生にも、殆どの場合T-ウィルスが深く関わっており、決して切り離せない要素となっている。
完全適応者
上記の様にウィルス抗体を持った人間は存在するが、更にT-ウィルスに対して完全に適応する者も存在する。作中ではセルゲイ・ウラジミールが該当している。
このタイプに分類される場合、脳に障害を及す(知能の低下や自我を損失する)事無く肉体の強化が可能で、更に自身の意志で肉体のリミッターを外し、タイラント等に見られる劇的な形状変化(スーパー化)も可能である。ちなみに変態後の姿は、その人間の意志がある程度反映されると言われている。
なお、このような人間の存在が、アンブレラがタイラントを開発するきっかけとなった。

感染によるおもな症状[]

流出したT-ウィルスは広く生物に感染し、人間においては次のような傾向の症状を引き起こす。人間がゾンビ化していく様相を感染者の視点から克明に描いたファイルとして、ゲーム内で登場した「飼育員の日記」がある。感染者の症状を知る上では、もっともわかりやすい資料であるといえよう。

初期症状
感染者の初期症状は、全身の痒み・発熱・意識レベルの低下。その後、大脳新皮質壊死に起因する、知性・記憶の欠如と代謝の異常による食欲の増大を引き起こす。知性・記憶の欠如を如実に表す事例として、手紙や日記を書けても、日付欄に本文の一部が入ったり(欄を間違えても気付けない)、日付を書かなくなったり(何日か思い出せない)、誤字・脱字が多くなったり(誤字・脱字があることに気付けない)、平仮名を多用するようになる(英語では単語の羅列になる)。
例:「かゆい かゆい スコットー きた(Itchy Itchy Scott came)」・「かゆい うま(Itchy Tasty)」
発症後
知能の低下と代謝促進から来る飢餓感のため、感染者は食欲を中心とした本能的行動をとるようになる。作品中ではこの状態のことを便宜的にゾンビと呼ぶ。体内の細胞が活性化し、既に死滅した細胞でさえも蘇り感染者は異常な耐久性を有することになるが、それに伴い新陳代謝も加速するため、十分な栄養を摂取できない場合は体細胞の分裂と壊死のバランスが合わなくなり、体が腐り落ちてしまう。また、喋ることができても、本来話そうとした言葉の1割ほどしか正確に発音できなくなる。
更にT-ウィルスの変種体は宿主の意識がなくなって休眠状態に陥ると体組織の再構築を行う。その際細胞を再び活性化させ、体組織自身の改造をも行い、俊敏性の上昇と、さらなる凶暴化をもたらす。この現象は研究員により「V-ACT」と命名された。V-ACTの発生を防ぐ方法は、頭部の破壊か死体を焼却してしまうこと。V-ACTが発生したケースは今のところゾンビにのみ確認されており、この現象の起きたゾンビは「クリムゾン・ヘッド」と呼ばれる。
一旦ゾンビ化してしまうと、もはや安楽死させることはできない。『3』に登場する病院の医師が残したファイルによると、この状態では医学的には既に「死んでいる」状態である、との見解が示されている。
映画版
映画版においては、リッカー(原作では感染した人間が変貌した怪物、映画では実験により生み出されたB.O.W.)に腕を引っかかれた人物に、人為的に手を加えることにより、知能はそのままだが自我を抑制された状態で、殺人兵器へと化した描写がある。また、主人公であるアリスはアンブレラ社によって捕らえられた後人体実験の対象となり、アイザックス博士の手によりT-ウィルスを投与された結果、自分の記憶や性格、感情などを保ったまま、超人的な身体能力を獲得している。後に再び捕らえられ、アイザックス博士によって改めて人体実験を施されたことで、人間や機械、果ては炎さえもコントロールしたり破壊する超能力を身につけた。ただし、この超能力はアリス自身でも完全にコントロールすることができず、『3』劇中では自意識の薄い睡眠時に暴発している。また、アンブレラ社北米支部の管理AI「ホワイト・クイーン」によると超能力発動時に「プシー粒子」なる粒子が観測される。
突然変異
生物の種類によっては感染により巨大化、形状の変化等を伴う「進化」をすることがある。昆虫や爬虫類はこの傾向が強い。人間も例外ではなく、発症から時間が経つと前述したリッカー、あるいはそのさらなる変異体であるサスペンデッドのような変異種になる場合がある。しかし、T-ウィルスによる「進化」を遂げた生物は進化の袋小路に入ってしまい、「始祖」ウィルスを投与しても、若干の能力向上をみる程度で、劇的な変異はもはや起きない。リッカーの場合、嗅覚が多少鋭くなる程度の変化しか起きない。

本来の目的[]

ゲーム版
ゲーム版では、T-ウィルスには異なる生物間の遺伝子交配をしやすくする性質があるとされており、このT-ウィルスを利用することで各種の生物兵器B.O.W.(Bio Organic Weapon)が創り出された。人間と爬虫類の遺伝子ベースのハンターなどは、その代表的な成果である。ただし、T-ウィルスは対象の知性を著しく低下させる問題があり、ある程度の命令を理解できる程度の知能の維持が課題とされていた。この研究はタイラントの完成である程度の成功を収めたとされ、その後はより完成度を高めるための改良が続けられた。
映画版
映画版では、アンブレラ社の研究責任者だったチャールズ・アシュフォード博士によって、筋ジストロフィーなどの病気の治療を目的として開発された。それをアンブレラ社が表向きには「しわとりクリーム」の原料として、裏では「生物兵器」に転用するために博士の意思を無視して研究成果を奪ったという設定。アシュフォード博士自身も筋ジストロフィー患者であり、娘のアンジェラにも遺伝による疾患が見られていた。アンジェラは本来の目的に適ったウィルスの使用により、症状の進行を止めることに成功している(ウィルスと抗ウィルス剤双方を投与することで、ゾンビ化させることなく緩やかに細胞の再生を行った)。

th:T-Virus

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