アンブレラは、テレビゲーム『バイオハザードシリーズ』に登場する架空の企業である。
概要[]
薬品開発部門を持つ国際的ガリバー企業。社名『Umbrella』の由来は、「傘で人類を庇護する」所から来ている。社訓は「人々の健康を庇護する」。表向きを薬品製造企業と装う事で、裏での生物兵器開発を容易とした事に依り、これを大きな資金源として表裏の両マーケットを拡大して企業活動を続け、国際企業へと伸上った。社は政界にも太いパイプを持ち、法規等の操作、他社や財政界への二重スパイ活動も行う。又、独自に特殊戦闘部隊を組織(U.B.C.S.を参照のこと)しており、有事の際には即座に対応出来る様配慮されている模様。
- 表の顔
- 先述のように、アンブレラは表向きは製薬会社として活動している。一般的に製薬会社という表の顔の方が認知度が高く、業界シェアはNo.1のようで、それをうたい文句としている。求人広告では信仰、性別、人種などを一切問わないなど平等主義を掲示し、業務管理者や配達員などの募集を行っているが、一部の研究員を始めとした幹部社員を除けば社員の待遇は劣悪。アンブレラの商品としてはADRAVIL(傷に使用する軟膏)、女性に人気のAQUA CURE(詳細は不明)、Safspin(瓶入りの錠剤で、病気を治すための薬品)が『バイオハザード3』劇中で確認されている。薬品以外にも医療機器なども開発、販売している。
- 兵器開発部門[1]
- 社内には、U.B.C.S.やU.S.S.などの準軍事組織で使用するための、対B.O.W.兵器開発を専門とする部門が存在する。主な仕事は、既在の銃器、兵器のカスタムであるが、オリジナルの対B.O.W.兵器の研究や開発も行っていた。同部門が開発した兵器は、2で登場した化学燃料火炎放射器、3のマインスロアーなどがある。それ以外では、暴走したタイラントを食い止めるため出動したU.B.C.S.1個小隊(30名)が全滅した事件を教訓に、U.B.C.S.の使用する武装では対処することの難しいB.O.W.対策としてS&W M29を改良した「アンブレラ マグナムリボルバー」等がある。同銃は、0で使用できる。
歴史[]
創設者は世界的大富豪のオズウェル・E・スペンサー卿、名門貴族のエドワード・アシュフォード、生物化学者のジェームズ・マーカスの3人。1966年12月に創設者の3人は新型RNAウィルス「始祖ウィルス」を発見。スペンサーはこのウィルスを利用しB.O.W.を開発、軍事市場を独占することを狙い、友人のマーカスに起業の話を持ちかける。その後、1968年に製薬会社と偽り、3人で同社を立ち上げた。会社を創設した同年に、エドワードが死去してしまう。スペンサーは会社の運営に力を入れ、幹部を養成するために、アンブレラ幹部養成所の所長にはマーカスを任命する。マーカスは始祖ウィルスの研究に力を入れていたが、スペンサーの社内での発言力が増しているのに不満を持っていた。マーカスは長年の研究により、1978年にt-ウィルスの開発に成功する。彼はこの成果で、社内で優位な立場に立てることを確信していたが、スペンサーはラクーンフォレストに新設したアークレイ研究所にt-ウィルスの研究を受け継がせた。スペンサーは私欲のために友人であるマーカスを利用しつくし、スペンサーは彼の腹心のはずであったウェスカーに1988年、彼を暗殺させた。これと同時にアンブレラ幹部養成所は閉鎖される。アークレイ研究所では、t-ウィルスの研究が順調に進み、B.O.W.の開発を続けていた。その後、10年間でアンブレラ社は大きく成長していき、1998年には北米、欧州、南極の3地域を、アンブレラの主な拠点とした。スペンサーは10年前に閉鎖した幹部養成所を有効利用できないかと思い、2度調査隊を送り込んだ(バイオハザード0)。
アンブレラは人体実験などもいとわず研究を続け、アメリカ政府もそれを把握していたが、アンブレラの最大の顧客はアメリカ政府であるため、アメリカも表立って批判することはせず、非合法な研究なども黙認していた。また、アンブレラはその膨大な資産を利用し政治家と癒着もしていた。アンブレラはラクーンシティでバイオハザードを発生させ、大規模な実験を行った。アンブレラはアメリカ政府に市民を隔離するように働きかけ、アメリカはアンブレラと政府の関係を隠蔽するため、ラクーンシティを爆撃した。
『4』ではこの企業の倒産後の物語が展開され、ゲーム冒頭においてラクーン市における事件により、生物兵器開発が世間に露呈。手に負えなくなったアメリカ政府に依って操業停止命令を受けた様が簡潔に説明され、この事に依って企業的信用を失して株価が暴落、事実上の廃業へと追い込まれた、と解説が入れられた。アンブレラ倒産後のスペンサーの消息は不明。
- 因みに、アルバート・ウェスカーは「プラーガ」を利用してアンブレラを復活させようと目論んでいる模様であるが、揮下のエイダ・ウォンがプラーガを確保した後の動向は不明である。
私設部隊[]
U.B.C.S.[]
- Umbrella Bio Hazard Countermeasure Service(アンブレラ バイオハザード対策部隊)の略。アンブレラ社が自社の開発するウイルスやクリーチャー等に依る災害・事件・事故や、アンブレラに対する企業テロに対応させる名目で組織され、問題が発生した場合、汚染地域に真っ先に派遣される。部隊編制の大半を傭兵で占めた非正規部隊。設立に至った経緯は、開発途中のB.O.W.が、フィールドテストの最中に暴走、研究員に多数の死傷者がでたり、施設や実験機材が破壊される事件が多々発生したため、制御不能へと陥ったB.O.W.を鎮圧するために同部隊の設立が計画された。尚、証拠類の隠蔽、生存関係者や目撃者等の確保等なども任務としており、B.O.W.の暴走による被害もU.B.C.S.の活躍で減少していたが、ラクーンシティに派遣された部隊は、B.O.W.等との戦闘データを得るためのモルモット部隊としての意味合いが強い。任務の内容から、危険性が非常に高く、そのため隊員の大半は、服役中の戦争犯罪人や重大な犯罪を犯して無期懲役か死刑判決を受けた元軍人、亡命軍人、元ゲリラ兵といった人物で構成されており、ならず者も多く、贖罪不問を条件に傭兵として組織している。冷戦時代に東側の軍隊で軍務を経験した隊員も多い。彼等の経歴上、元来個人的戦闘能力に優れており、兵員輸送ヘリからのリペリングといった高度な技術を容易く行うのはその為と思われるが、ラクーン市へと投入された部隊は壊滅の憂き目を見る事となった。ハンクの属するU.S.S.部隊(正規部隊)とはライバル関係。
- ラクーンシティにおける作戦では、ヘリにより市中心部に1個中隊約120名(1個小隊約30名編制の計4個小隊)が投入され(BIO3)、他は車両により陸路で市へ侵入した(アウトブレイク2)。前者部隊にはカルロス・オリヴェイラ、ミハイル・ヴィクトール、ニコライ・ジノビエフなどが所属し、名目上は市民救出を任務としていた。後者部隊は市民救出というよりも、脱走したU.S.S.隊員ロドリゲスの抹殺やニュクスの回収を目的としていた。また、新型ウィルスを開発した女性研究員の救出のため市に侵入した5名編制の分遣隊も確認できる(4D-Executer)。
- 主な武装はM4A1、SIGPro SP2009、H&K MP5、H&K PSG-1であるが、Biohazard 4D-Executerでは、M4A1にM203に装着しており、隊員の1人はベネリM3を使用していた。移動手段としてはヘリのAS332 シュペルピューマを使用し、4D-Executerでは軍用車両ハンヴィー(ブローニングM2重機関銃搭載)も使用していた。
U.S.S.[]
- Umbrella Security Serviceの略。アンブレラ社の保安警察(アメリカでは手続きを取る事で企業も警察機関を持てる)。主に社幹部の警護等を行なう外、公には出来ないような特殊任務へも従事する。所謂「ラクーン市壊滅事件」に際しては、概して二種の作戦に対し最大四十~五十名規模の大部隊が投入されているが、この際に生存した事が確認されるのは二名のみであり、その外の隊員の生存は確認されていない。即ち、ラクーン地下研究施設に於いてのGウイルス奪取作戦時、Gウイルスを自らに投与しG生物へと変身したアンブレラ研究員・バーキンに依ってアルファチーム隊員・ハンク以外の隊員全員が殺害され全投入部隊が壊滅、一方のラクーン市内研究施設よりのB.O.W.輸送任務に際しては、第2分隊隊長・ロドリゲスを除いて部隊は離散乃至壊滅している。また、0で黄道特急破壊作戦に派遣されたのはデルタチームである。特殊任務に当たっての一般的装備類は、英軍特殊部隊SASの室内突入装備に準じた物が採用されている。
映画版[]
- 『バイオハザード (映画)』では、秘密地下研究所ハイブを持っている。
- 『バイオハザードII アポカリプス』では、ラクーンシティを核で破壊した。
- 『バイオハザードIII』ではウィルスの影響で近代文明のほとんどが壊滅状態となった世界においても、バイオハザード前とほとんど変わりない技術を保持し、会社としての形を保っている数少ない企業となっている。
- 『バイオハザードIV アフターライフ』では、東京都渋谷に本部がある他、研究用輸送船『アルカディア』を保持しており、『Ⅳ』での最終決戦の舞台となる。
脚注[]
- ↑ 月刊『アームズ・マガジン』2004年6月号のバイオハザード特集より
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